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危機のときこそ強いリーダーがもとめられているのにみんなで丸くなろうとするニッポン

 石川知裕・著『悪党~小沢一郎に仕えて~』を読み終えた。長年、仕えた「秘書の眼」から見た生の小沢一郎像は、実に興味深く、一気に最後のページまで読み通した。面白かった。
 
 小沢嫌いの人間から見れば、絵に描いたような小沢「信者」の僕であるかもしれないが、正直に言えば、代表選などで敗ける度に、どうしてこの人は、こんなに敗けるんだろうと、多少、動揺してしまう。

 慕う人は徹底して慕い、嫌う人は徹底して嫌う。この毀誉褒貶の激しさは、一体、何が原因なのか。この人自体に大きな問題があるのではないか。僕は、考え違いを起こしているのではないか。一瞬でも、そういう思いが頭を掠める。

 そんなときに、不思議とこの人の言葉に触れる機会があり、その動揺が一気に雲散霧消してしまうのだ。今回もそうだった。この本に石川氏と小沢氏が対談する章がある。そこに、こんな言葉があった。

いまの民主党の欠陥は、俗に言う「雑巾がけ」、基礎的な鍛錬、基礎的な勉強をしないで偉くなっちゃったヤツばっかりなんだよ。だから危機が起きるとどうしたらいいかわからなくなるんだよ。基礎的な修行を積み、経験を積み、知識を積み、そしてこういう時はこう、ああいう時はこうと、自分の価値判断基準、政策判断の基準っつうのが自然と作られてくる。それがピョンと偉くなっちまったもんだから。


 4年前、自民党との大連立政権を模索した直截的な動機は、ここら辺りにあったのだろう。当時の民主党に、政権担当能力の欠如を早くから感じ取り、大連立で実地に政権を担当させ、経験値を積み上げていこうとしたのだ。

 しかし、それは執行部からの猛烈な反発を招き、頓挫してしまう。2年後に、実際に政権交代が起こり、鳩山-菅とつづく流れを見ていけば、小沢氏の見たとおり、オリジナル民主党グループに政権担当能力がなかったことは、満天下に明らかとなった。

 その政権担当能力のない政権が、未曾有の国難である大震災と原発事故に直面した。とくに「政治主導」が求められた原発事故に対しては、官や電力会社に丸投げした形で、まったく対応できず、福島住民の健康被害を増大させ続けている。

 偏差値的な頭の良さや、外見のスマートさはあれど、リーダーに求められる決断力、実行力に乏しいのは、オリジナル民主党グループの最大の欠点だった。そのグループに舵取りを任さざるを得なかったニッポンの不幸は、後世、正史に刻印されることだろう。

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 自民党政治の数少ない長所をあげるとすれば、その人材育成システムであったろう。派閥が議員の修行の場として機能してきたのだ。新人は、「雑巾がけ」、「庭掃除」、「下足番」から始めた。今みたいに、当選2回ほどの議員がいきなり閣僚として抜擢されるなんて、とんでもないことだった。

 だから、さまざまな問題を孕みつつも、派閥のボスや閣僚はそれなりの「重厚」感があった。それに比べて、今の「軽さ」はどうか。今般の代表選に出馬した5人の候補者を眺めて、大きく嘆息したのは、僕だけではなかったはずだ。

 小沢グループの「数」と「結束力」の強さは、この数少ない自民党政治の長所を継承したところからきているのだと思う。その「古めかしさ」を、朝日をはじめとする記者クラブメディアは嫌ってみせる。「古い自民党政治の象徴」と。

 なぜ、「古い」が「悪い」のかよくわからない。「新しさ」がどれだけ、国民の為になったか。政治力が未熟な者が国の舵を取り、危機に直面すれば国民の命などどうでもいいとばかり見捨ててしまう。国難のときこそ、強いリーダーがもとめられるというのに。小沢氏も、こう言っている。

 いまの震災を例にすると、マスコミを含めてバカみたいに、やれ挙国一致だ(筆者注・「ひとつになろう日本」などとマスコミが呼びかけていること)、やれいま政権を変えるのはどうかってアホみたいな議論をしている。これは日本人的な議論だ。
 欧米では違うんだよ。危機だからこそ強力な政権とリーダーを作らなければならないっちゅうのが彼らの考え方だよ。
 日本人はみんなで丸く丸くなろうとする。丸くなって、談合ばかりしていたって解決しねえんだよ。原発事故にしても誰も責任をとらない。誰が責任者なのか、誰が決めているのか、わけがわからない。そこをマスコミが一緒になってもっと仲良くなれって、何を考えているんだよ。(中略)
 マスコミは日本人の悪いところの典型なんだ。国家の危機を経験してきた欧米人は、危機のときだからこそ強いリーダーを選ぶ。
 第二次大戦前のイギリスはチェンバレンという首相がいて、ヒトラーと妥協して「チェンバレンの平和」と言われたんだな。それが結局はヒトラーの勢力を増大させてしまった。そのときにイギリス人は最も批判の多かったチャーチルを首相に選んで、チェンバレンを降ろした。危機だからこそ変えた。危機じゃなかったら、チャーチルは総理にならなかった。発想が違うんだよ。ゆでガエルみたいな日本人とな。


 さて、新総理に選ばれた野田佳彦は、どうだろう。「強いリーダー」だろうか。とても、そのようには思えないが、輿石氏を幹事長に据えたところは、菅とは少し違った「食えなさ」を感じないでもない。「ポピュリズム」に頼るだけの今までの総理とは違う、「政治力」を秘めているだろうか。

 まだ1日か2日見ただけだが野田新総理は菅前総理とは対極の政治手法を取るように思える。自分の主張を鮮明にして敵を作り、敵との戦いを国民に見せつけて支持を集める「ポピュリズム」型ではなく、主張はしても懐深く真意を見せない融通無碍の政治家タイプである。

 小泉政権以来「ポピュリズム」型政治に振り回されて、政界もメディアも国民も成熟した政治を見る目を失ってきた。新総理にはそれを変えるきっかけを作ってもらいたいと人事を見ながら思った。

田中良紹の「国会探検」~1日で考えを変えた~より引用


ま、そこまで期待はできないけれどね。

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第1部 「悪党」登場(逮捕まで、そして逮捕から/悪党の思想と外交戦略/悪党に仕えるということ/悪党の急所/悪党と選挙、大連立)/第2部 「悪党」解剖(悪党とキン肉マン/悪党とマルクス/悪党とウェーバー/悪党とチャーチル/悪党とサンデル)/第3部 対決(小沢一郎が語った「原発」「遷都」「復権」)




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