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新聞業界と自民党・清和会をはじめとする政界は4年前に濃厚な関係を築いた

「ガチガチの保守」と見られがちな読売グループ会長・渡辺恒雄氏が、かつて「リベラル」的な言動をしていたということをご存知だろうか。
数日前、ナベツネ氏のことを調べるために、彼の「wikipedia」に目を通したのだが、以下の部分を読んで、少なからず、驚きを禁じえなかった。

保守的な言動で知られているが、首相の靖国参拝や歴史修正主義の動きには自らの軍隊経験から反対の立場を取っている。特に特攻作戦を激しく批判し、「人間を物体としての兵器と化した軍部当事者の非人間性は、日本軍の名誉ではなく汚辱だと思わざるを得ない」と述べている。
靖国神社問題については、「もしもメルケル(ドイツ首相)がヒトラーの墓参りをしたらどうなるのか」「(靖国神社の)遊就館は非常に有害な場所であり、あれは閉鎖しなければならない。産経新聞を除いて日本のメディアは戦争の責任と靖国神社等の問題について重要な共通認識をもっている」「日本の首相の靖国神社参拝は、私が絶対に我慢できないことである。今後誰が首相となるかを問わず、いずれも靖国神社を参拝しないことを 約束しなければならず、これは最も重要な原則である。…もしその他の人が首相になるなら、私もその人が靖国神社を参拝しないと約束するよう求めなければならない。さもなければ、私は発行部数1000数万部の『読売新聞』の力でそれを倒す」と答えている。


社説で「憲法改正」を声高に主張する新聞社のオーナーにしては、実に意外である。

4年前の2006年、朝日新聞社の『論座』2月号でも、渡辺氏は、朝日の若宮論説主幹との対談で、日本の戦争責任や靖国神社問題について言及している。

「僕は自分の実体験を語り、残しておかないといけないと思っている。日本軍というのは本当にひどいものだったということを、どうしても言い伝え、書き残しておかなきゃいかんと思っているわけですね」
「(南京事件の)犠牲者が三千人であろうと三万人であろうと三○万人であろうと、虐殺であることは間違いない」


どっちが朝日かわからないと、対談相手の朝日の論説主幹が苦笑するほど、この男にしては珍しく、僕からすれば、「正論」を吐いた。
しかし、対談の後段になって、実になまぐさい本音を垣間見せる。「衣の下の鎧(よろい)」とは、まさにこのことだろう。
対談のテーマが「言論の自由」に移ると、「言論の自由とか言論の独立を脅かすような権力が出てきたら、読売新聞と朝日新聞はもう、死ぬつもりで結束して闘わなきゃいけない」と述べた。

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これには少し、説明が必要かもしれない。
この当時、新聞各社は大揺れに揺れていた。
前年の2005年11月、公正取引委員会が新聞の特殊指定を撤廃するという方針を打ち出したからだ。
その「新聞の特殊指定」とはなにか?

「特殊指定」とは、特定業種での不公正な取引の防止を目的に、独占禁止法に基づいて公正取引委員会が禁止事項を指定することを言います。
新聞販売に関しては、表現の自由や国民の知る権利を一様に守る観点から、
(1)新聞社が異なる定価をつけたり、割り引いたりする
(2)販売店が定価を割り引いて販売する
(3)新聞社が販売店に注文部数を超えて新聞を供給する-ことを禁止しています。
このため、新聞社は販売店に小売り(再販売)をする際の価格を指定することができる再販制度を採用し、同一の新聞は全国どこでも同じ定価で販売されるわけです。 
  (「新聞特殊指定撤廃と知られざる闇の世界」より引用)


新聞各社は、この特殊指定が撤廃されると、販売店間の安売り合戦が激化し、専売制(販売店が系列の新聞社の出版物のみを販売すること)が崩壊し、それに伴って戸別宅配体制そのものが崩壊するとして、激烈な反対キャンペーンを始めた。定価を一定させることでの「安定した経営の保証」という安楽椅子から蹴落とされることを憂慮し、激しく恐れたのだろう。
有識者を呼んで、紙上に我田引水的な特集座談会を掲載するだけでなく、新聞販売店の同業組合である日販協(日本新聞販売協会)を通じて、自民党の「新聞販売懇話会(会長・中川秀直)」に「特殊指定撤廃阻止」をはたらきかけた。というか、新聞販売懇話会のほうから、支援を申し出たようだ。
もう、何十年も前から、日販協から政治献金を受けてきた「新聞販売懇話会」としては、こういうときにこそ、「お役に立てねば」と思ったに違いない。

新聞業界から金銭的な恩恵を受けている自民党が、新聞特殊指定の見直し問題が浮上して行動を起こさないはずはなかった。事実、新聞販売懇話会の会合で、自民党議員らが新聞人たちによる新聞特殊指定を守る運動に理解を示した。それに対して感謝の意を示すかのように新聞人たちがプレスセンターに議員らを招いて、懇談会を開催したのである。
ちなみに新聞関係者は、当初は自民党議員を中心に政界工作を行っていたが、公取委が特殊指定についての結論を出す時期が近づくにつれて、全政党を巻き込んでいった。政党の側も例外なく、新聞業界の訴えに理解を示した。
その背景にどのような事情があるのだろうか。政治献金を受けている自民党の議員は、新聞業界を救済することを当たり前と受け止めるであろうが、それ以外の議員までもが新聞業界の主張に理解を示したのは、大メディアと敵対関係になる事態は避けたいという思惑があったのではないか。
(黒藪哲哉「崩壊する新聞~新聞狂時代の終わり~」より引用)


こういう経緯を認識すると、先ほど紹介したナベツネ氏の「突然の転向」の意味がわかってくるのだ。

つまりこの対談の本当の目的は、渡辺氏みずからの思想の「転向」を宣言してみせることで、特殊指定の問題に対する政府の対応をけん制することだったのではないか。政府が公取委に圧力をかけて、特殊指定を撤廃することに歯止めをかけない限り、新聞業界は政府とは決別して、教育基本報や憲法の改正に反対する主張を展開すると暗黙のうちにほのめかしているのである。(同上)


マスメディアは常に、こうして、そのときどきの政権を「おどして」きたのではないか。
昨今の「鳩山政権叩き」のような、マスメディアが一致団結して、世論を操作し、動かし、ネガティヴな偏向報道を行えば、「向かうところ敵なし」の状況が現出してしまう。ましてや、検察権力とタッグを組めば、これ以上ないほどの、最強の権力が出来上がる。
ロッキード事件やリクルート事件で痛い目に遭わされた政治の側は、この「マスコミ・検察コンビ」に恐れをなし、全面的な衝突を避けるようになったのではないか。
そして、新聞各社のアキレス腱である「特殊指定撤廃」を公取委が画策した2006年、その阻止に向けて、政治と新聞業界が、これまでにないほどの濃い共闘関係を結んだのである
朝日新聞の「リベラル論調」からの急速な撤退や、小泉政権全面ヨイショ記事の乱発などの背景は、このようなものだったのだ。
そして、民主党政権の一部が、どうもマスコミからの攻撃に萎縮しているように感じるのも、このせいだと思う。
自党の代表や幹事長が悪しざまに言われるその流れで、なにかあるたびにメディアに媚びるようなコメントを垂れ流す不届き者が党内にいる。
しかし、小沢氏のグループだけが、一切、メディアに媚びることなく、超絶している。
目の仇にされる所以であろう。

眠気で朦朧として、いつにも増して、文章が粗雑になってきた。
この続きはまた、後日とする。


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未分類 | コメント(0) | 20100519031249 | 編集
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